ジェラートとアイスクリームの違いって何?ジェラート専門店がお伝えします!
ジェラートと聞くとどんなイメージを持ちますか?
ちょっとおしゃれなアイスというイメージでしょうか。
映画「ローマの休日」でオードリーヘップバーンが食べたアイスや、コーンに高く盛り付けた形のイメージがあるのではないでしょうか。
さっぱりした氷っぽいアイスと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ミルクを使わないシャーベット(氷菓)と混同されることも多いように思います。
ジェラートとアイスクリームの違いについて、イタリアンジェラート専門店がお伝えします!
ジェラートとはどんなアイス??
ジェラートはイタリア語で「凍ったお菓子」を意味します。
イタリアでいうアイスクリームのことです。
つまり、アイスクリームとジェラートの間には、言語としての明確な差はないということになります。
アイスクリームはアメリカで発達、工業生産で作られることが多いのに対し、イタリアでは45%が手作り。
ジェラート専門店を意味する「ジェラテリア」では、基本的に同一店舗で製造し、販売も行っています。
イタリアには4万店近くのジェラテリアがあるとのことで、この店舗数は日本でいうとコンビニよりも多い数とのこと。
イタリアではジェラートがとても身近なスイーツだということが分かりますね。
それでは、イタリア生まれのジェラートと日本のアイスクリームの実際の違いとはどのような点にあるのでしょう?
大きく4つの違いがあるので、説明していきますね。
ジェラートとアイスクリームの違い4つとは?
① 乳脂肪分の違いが大きなポイント
日本では乳固形分などの分量によって、下記のように法令で分類されています。
乳固形分 |
うち乳脂肪分 |
|
アイスクリーム |
15.0%以上 |
8.0%以上 |
アイスミルク |
10.0%以上 |
3.0%以上 |
ラクトアイス |
3.0%以上 |
- |
氷菓 |
上記以外のもの(乳固形分3%未満) |
アイスクリームやラクトアイスなど、市販のカップアイスの裏に表示されているのを目にすることがありますよね。
ジェラートの脂肪分は4~7%なので、「アイスミルク」の分類になります。
アイスクリームとジェラートの違いのひとつは、乳脂肪分の違いといえます。
ジェラートは乳脂肪分がアイスクリームに比べて少なめなので、しつこくなく軽い美味しさが特徴です!
乳脂肪分が低いということはその分カロリーも控えめになるのです。
つまり、アイスクリームと比べると、さっぱりと食べられるのがジェラートということになりますね。
② 植物油脂を入れないアイスクリーム&ジェラート
アイスクリームは「アイスクリーム類および氷菓の表示に関する公正競争規約」により、乳脂肪分以外の脂肪の添加が禁止されています。
牛乳やクリームなど乳製品以外の植物油脂を使ってコクを出して、アイスクリームとして販売しないように定められているのですね。
アイスミルクやラクトアイスには植物油脂が使われることもあります。
植物油脂は主にヤシ油、パーム油、菜種油などが使われています。
そこで「アイスミルク」であるジェラートについて、植物油脂の使用はどうでしょう?
イタリア生まれ、フレッシュな材料を使って手作りするジェラートは、植物油脂を入れることがありません。
価格を抑えた上で、アイスクリームに近づけるため、植物油脂を使うといったような考えがジェラートにはそもそもないのです。
日本の省令により、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスと分類されているばかりに、「だったら、アイスミルク、ラクトアイスよりアイスクリームが一番美味しいってことだよね!?」というイメージを持ってしまっている方も多いのではないでしょうか?
でも、アイスクリームと同じように植物油脂を使わず、ミルクの自然な美味しさを活かしたジェラートは脂肪分で比較される必要はなく、十分に魅力的なアイスなのです。
日本でのジェラート店は、牧場や観光地、デパートの食品売り場などに出店し、出来立てをその場で提供するジェラートならではの美味しさが人気となりました。
現在は、通販で販売している店舗も増え、カップ裏の表示でアイスクリーム、アイスミルクといった分類を目にすることが多くなりましたよね。
ただ、その場で食べている時には比較することがなかった、カップジェラートに付いたアイスミルクの表示を見て、「アイクリームじゃないんだ…」とがっかりされてしまうことは本当に残念でなりません。
ジェラート店としては、日本の省令分類には、植物油脂を使わず、脂肪分の低い「ジェラート」という区分を新たに作って欲しいと切に願います!
補足として…ジェラートのフレーバーとして欠かせない、人気の高いピスタチオなどナッツ原料は植物性脂肪分に含まれますが、あくまで風味付け原料であることをお伝えしておきますね。
③ 空気の量が違うから、ジェラートはなめらか!
アイスは中に空気が含まれていることで、氷のように固くならないのですが、この空気の含有量にもアイスクリームとジェラートに大きな違いが!
アイスクリームは50%以上なのに対し、30%前後と少ないのがジェラートです。
空気が少ないため、密度が濃くなめらかになるので、素材の味をしっかり味わうことができるんです。
④ アイスクリーム、ソフトクリーム、ジェラート…食べる温度の違い
全国チェーン店のアイスクリーム屋さんをイメージしてみてください。
ディッシャーと呼ばれる器具で店員さんが手にグッと力を込めてすくっていますよね。
アイスクリームのショーケースの温度はマイナス18℃以下で管理されています。
ソフトクリームは出来立てを食べるアイスなので、製造温度がマイナス4~6度と高め、柔らかい状態で食べる出来立てアイスクリームといえます。
ジェラート店では、ショーケースをマイナス12~15℃位に設定し、クリーミーな状態のジェラートをヘラですくって盛り付けます。
これが結構難しいんです(笑)!
アイスクリームより高い温度で、ソフトクリームより低い温度で、なめらかでクリーミーな味わいを楽しむのがジェラートです!
通販で買われたカップジェラートは、冷凍庫から出してそのまま食べるのではなく、少しやわらかくしてから、スプーンで練りながら食べるのがおすすめですよ。
ジェラートとアイスクリームに賞味期限の違いはあるの?
アイスクリーム類は-18℃以下で保存すれば品質変化が少ないことから、賞味期限の表示は義務付けられていないんです。
冷凍庫に保管していれば、賞味期限を気にせず、いつでも好きな時に食べられるので、贈り物にもとても喜ばれます。
ただ、素材の味わいを活かしたジェラートは、風味が飛んでしまう前に早めに食べることをおすすめします。
まとめ
ジェラートは乳脂肪分が控えめでライトな美味しさ、空気の含有量が低いので素材の味わいをしっかり感じられる、密度が濃くなめらかなアイスなのです。
イタリアで生まれたジェラートは、脂肪分で比較される必要のない、アイスクリームとは違うもの。
それぞれの良さがあるので、分類にとらわれず、ジェラートの美味しさを知っていただけたらとても嬉しいです!